こちらでは11スティントから15スティント(フィニッシュ)までを振り返っていきます。時間にすると、07:30~15:00までになります。

第11スティントでドライバーは前嶋選手から大西選手へ(S耐TV 00:32:50)。大西選手は順調に周回を重ねていきます(S耐TV 00:44:09)。

ところが、レース時間が残り7時間を切ろうとしているところで、大西選手がスピン!その模様はモニターにも映り、チーム全員の顔が青ざめました。

チームの皆が大西選手は凡ミスをするような選手ではないのを知っているため、ほとんどのスタッフはマシントラブルを疑いました。

原因は、コースのブレーキングポイントの路面がうねっていて、そこにさらにピレリタイヤのゴムが路面に蓄積されていき、ブレーキシステムが誤作動を起こしてタイヤロックしてしまったのでは?という見解に。

この後マシンをチェックしながら走行を重ね、これ以降トラブルは出ませんでした。ほかのマシンを巻き込まずに済み、不幸中の幸いでした。(S耐TV 01:02:48)

12スティントは手塚が担当しました。(S耐TV 2:16:50
日は上りましたが、このスティントではあまり気温と路面温度が上がってきていないため、引き続き慎重にタイヤマネージメントに努めました。この時点で2位との差が7周にまで広がりました。

7周といえば大差に聞こえますが、1周1分55~58秒なので多く見積もっても14分くらいの差。接触やトラブルでピットでの修復するとなった場合、簡単にひっくり返されてしまいます。

ここまで不眠不休で頑張ってくれているメカニックやスタッフの方々の頑張りを僕らドライバーで台無しにするわけにはいかず、夜が明けてからは周りの視界は広がりましたが、ナイトセッションよりも慎重に走るようにしました。

今回のレース中のタイヤ交換のルーティンは、スタート→左側前後交換→4本交換→左前後→4本と行っていました。

チームと悩みに悩みぬいた結果から導き出したマシンセットとタイヤマネージメントが功を奏し、周りが連発しているタイヤバーストは一切起きませんでした。

2位以下とのマージンを見つつ、念には念を入れ、チーム代表から出たオーダーは、

「コストは気にするな!絶対に勝ちを取りに行く!10スティントからゴールまで4本交換!」

後日調べたら、チームの勝利は2015年の岡山国際サーキットでの優勝が最後だったそうです。

僕がテクノファーストの代表にお誘いを受けた時に言われたのは、「もう負けるのは飽きた。次のシーズンは勝ちに行きたいから乗ってくれないか?」

ドライバーとしてこれほどうれしい言葉はありません。

レーシングドライバーとしての僕を必要としてくれる。

勝ちたいから来てくれ。

その期待に絶対に応える。

そう決心してチーム移籍を決めました。











・・・・・・・そういえば、

昨晩に引き続きチームオーダーも出ました。はい、チームオーダーです。(S耐TV 02:45:40

時刻は14時10分。レース時間は残り50分というところで15スティントに突入。

タイヤは4本交換。

ガソリンは満タン。

ドライバーはレース歴31年の大ベテランであり、3年前に僕をスーパー耐久に誘ってくれた師匠でもある前嶋選手。

10数年前に北海道の十勝スピードウェイで行われていた24時間耐久にも何度も参戦したが、ついに一度も勝てなかったそうです。

今回はゴールを担当していただきました。

この時点で2位との差は11周。時間にして約19分40秒。

チームは勝利を確実なものにするためにラップタイムを10秒遅く走る作戦を決行!

そして15:00。

720周を終えてノーペナルティ、ノートラブルで優勝しました!!!

720周というのは去年の24時間耐久のST-Xクラスとほぼ変わらない周回数になります。それほど今回のレースはクリーンなレースだったのでしょう。

2位だった39号車は僕が去年まで走っていたマシンで、元チームメイトのドライバーが2人います。

なので表彰式はどんちゃん騒ぎに!!!(S耐TV 04:04:05)

優勝後の記者会見(S耐TV 04:28:25)。次戦以降の意気込みなどを話しました。

今年は確実にチーム力での勝利だったと感じます。チームスタッフは24時間にも及ぶロングランで、非常に緻密に、何パターンも計算しており、十勝24時間耐久経験のある老舗チームの力を肌で感じることができました。

僕らドライバー組は、序盤からペースを上げていけばトップを独走する自信はあったのですが、あえてそれを行わず、1周を速く走るのではなく、100周を同じくらいのタイムで走って、マシントラブルなどのロスをしないように努めました。

そのおかげで2位と11周、3位と45周も離してフィニッシュすることができました。

この場を借りて、僕らを応援してくださったすべての皆様に心から感謝いたします。

皆様の応援でシリーズチャンピオンへの道が残りました。

今後も34号車、TECHNO FIRST RC350 と僕の応援をよろしくお願いいたします。

レース1週間前に出たオートスポーツでの記事。

「借りは富士で返す。」

有限実行って気持ちいい。